ヴィネクスポ東京と各国ワインの喧伝

111516日の2日間、業界向け展示会ヴィネクスポ東京が芝公園のホテルで行われました。 日本未入荷のブティックワイナリーなど多数出展。ヴィネクスポアカデミーと銘打った様々な興味深いワインセミナーも開催され、取引としてのビジネス以外にもワインの知識向上や各国ワインのアピールのためのプログラムが色々ありました。

 

英国市場でモダンなドイツワインをアピールするため2006年にドイツの若手生産者がはじめた運動、「ジェネレーション・リースリング」。25名ではじまったこの活動は現在ドイツ全国で530名を超えるまでに広がり、このようなグループとしては世界最大の団体となっているそうです。

リースリングのゼクト、ピノノワールのシュペートブルグンダー、ジルヴァーナーやヴァイスブルグンダーなどを実際試飲してみると、どれも軽やかで飲みやすいタイプに仕上がっていて、35歳までの若手生産者の感性が伝わる味わいでした。

 

講師のソムリエ、森上さんはこの「ジェネレーション・リースリング」のワインを以下のように総括しています。

1.    モーツアルトの音楽のように心地良さ&普遍性がある(モーツァルトは幼少の頃欧州中を旅し普遍的な感性を身に着けた)

2.    味わいはリズミカル&ハーモニー

3.    アルコール度数13.5以下の低アルコールであらゆる料理のジャンルとマッチする

4.    今流行のヴィオディナミに固執しないが、健康なブドウを使って品質第一のワインを造るマインドは共通している

 

ヴィネクスポはフランスワインが主流ですが、今回ルーマニア、ギリシャ、モルドバなど東欧諸国のブースもあり、EUの助成金などを使用した各国ワインの喧伝や啓蒙活動などを積極的に行っていました。

ルーマニアはワイン神バッカスの生まれ出た地がルーマニアであるとEU協力キャンペーンで作られたビデオ冊子で強調したり、モルドバも5千年のワインの歴史があるワインの国だと宣伝しており、フランス、イタリア、ドイツのオールドワールドやチリや南アフリカなどのニューワールドのワインとの差別化を図っています。

 

実はバッカスの元になっているのはギリシャ神話のワイン神ディオニソスであり、そのディオニソスは古代トラキア、現在のブルガリアのトラキアヴァレーの土着の神から派生しているのです。今回残念ながらブルガリアは出展しておらず、ワインの神発祥地として古代からのワイン大国ブルガリアを喧伝する必要性を感じました。